≪農地を相続しない方法 ≫

「相続人全員で話し合ったものの、

 農地だけは誰も相続したがらない。」

当事務所ではこうしたご相談もよくあります。

 

相続とは、亡くなった方の一切の権利義務を

相続人に対して包括的に承継させる制度です。

(民法第896条本文)

 

よって、亡くなった方の権利義務のうち、

農地に関する権利義務だけを

相続による承継の対象から除外することは、

現行法では認められていません。

 

相続人が皆どうしても農地を相続したくない

ということであれば、基本的には

相続人全員が相続放棄するしかありません。

 

相続放棄とは、初めから相続人でなかった

ことにする制度(民法第939条)なので、

相続放棄をすると、農地に限らず、

亡くなった方の預貯金を含む全ての遺産を

一切承継することができなくなります。

 

もっとも、相続放棄したとしても、

その放棄の時に相続財産に属する財産を

現に占有している方については、

相続放棄をしていない相続人

または相続財産清算人に対して

当該財産を引渡すまでの間、

当該財産を管理する義務があります。

(民法第940条第1項)

 

よって、現に亡くなった方の農地を

現に占有している相続人がいたとしても、

相続人全員が相続放棄し、かつ、

相続財産清算人を家裁に選任してもらい

(民法第952条第1項)

その者に対して農地を引渡せば、

相続人全員の農地の管理義務が無くなります。

 

なお、本人が亡くなる前であれば

農地以外の遺産となる財産を

引き継ぐことができるようにする方策がありますが、

このお話はブログ(事前対策)をご覧ください。

 

また、相続放棄をせずに

農地も含めて遺産を相続した上で

農地だけ国に引取ってもらうことも可能な制度

相続土地国庫帰属制度

が令和5年4月から使えるようになりました。 

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